イマドキの「退職代行」について

2018年ごろから退職代行サービスが登場し、企業側に退職の意向を伝える代行を行う業者が増えています。調査によると、大企業の18.4%が「退職代行業者から退職手続きを求められた」と答えています。このサービスには賛否があり、批判的な意見として「退職は自分の意思で直接すべきだ」という声があります。

しかし、利用者は必ずしも「非常識な若者」だけではなく、中高年社員も利用している。正社員だけでなくアルバイト退職でも利用されています。

費用は、弁護士が関与しているかによって異なり、1万〜5万円ほど。アルバイト退職に利用するとなると決して安くはない価格といえるかもしれません。

では、なぜ退職代行を利用する人がいるのでしょうか。若手社員の場合、サービス残業や有給が取れない「ブラック企業」に入社し、退職の意思を直接伝えても受け入れてもらえないケースがあります。こうした場合、退職代行が引き止めを防ぐ手助けとなります。

40代以上の利用者の場合、職場への恩義も感じており、さらに「辞めないでください、頼りなんです」と強く引き留められると、本人の性格的な理由で退職を強く言い出せないため、代行を利用して「丁寧に」退職する人もいます。

一方で、些細な悩みで退職代行を安易に利用する若者が増えています。たとえば、仕事の悩みがあっても上司や同僚に相談せず、職場の人間関係を「リセット」してしまうことがあります。「理想の自分と現実のギャップ」や「自分には能力がない」といった思い込みが背景にあることも多いようです。さらに、現在の「売り手市場」の就職環境で求人が豊富なことも一因でしょう。

しかし、思い通りにいかない人生にどう向き合うかが成長につながります。実際、20代でリセット転職を繰り返した人が「最初の会社が一番良かった」と感じるケースもあります。また、突然退職代行を使われた組織では、退職の本当の理由が分からず、周囲に深い傷を与えることもあります。上司や同僚もゲームのキャラクターではなく、心を持った人間です。その職場での経験や人間関係、退職代行を利用したその事実も、すべてゲームのように消えることはありません。転職は悪ではありませんしかし、無駄に人を傷付けるような振る舞いは人生にプラスにはなりません。

将来、どこかでその上司や同僚に再会することがあるかもしれないことを忘れないでほしいですね。